サーバやネットワーク機器を新設したり交換した際、設定に問題が無いのに通信できない事がありますが、この様なトラブル原因のひとつとして"ARPキャッシュ"が考えられます。

いわゆるインターネット(TCP/IP)における通信設定ではIPアドレスやネットワークアドレスが重要ですが、実際ハードに近いレベルでの通信には"MACアドレス"で機器の識別が行われています。MACアドレスはルータやNICやWiFiなどのネットワークデバイスが持っている一意なIDです。

PCやサーバおよびL2以上の"インテリジェント"と呼ばれているネットワーク機器は通信の高速化(オーバーヘッド削減)の為にこのMACアドレスとIPアドレスの対応データを一定時間キャッシュする機能があります。このキャッシュデータが古い状態で残っているとIPアドレスが同様でも異なる機器を接続した場合に"一定時間"通信が出来なくなる事象が起きます。

したがって場合によってはこのARPキャッシュを強制的にフラッシュする必要があります。

ちなみにWindowsやLinuxでARPキャッシュを確認する方法は以下のコマンドになります。
arp -a

これを強制的にフラッシュする場合は以下のコマンドでIPアドレスに対応したMACアドレスを消去できます。
arp -d XXX.XXX.XXX.XXX
例えば上位のルータを交換した場合などにPC側でこのような操作が必要になります。

ネットワーク機器側においても同様のキャッシュ管理機能があるのでGUIあるいはCLIでキャッシュをフラッシュする操作が可能になっています。なおデータセンターでサーバやネットワーク機器を運用している場合は上位機器を管理しているオペレータに依頼が必要な場合もあります。

ARPキャッシュ問題は概ね"一刻を争う状況"で発生しがちなのでチェックポイントとして知っていた方が良いと思います。