高校に入学した年に1年間だけ美術の授業があった。

当時担当した美術教師が少し変わり者だったらしく、15歳の僕には彼の言葉がしばし理解不能だったことを思い出す。その先生が話している感じから他の教師達からも少し煙たがられている様子だった。

そして彼は授業初日からインパクトのある言葉を僕らに言い放った。
彼の言葉というかポリシーのようなものをまとめると次のようなことだった。

「私はその辺の連中と違って毎日欠かさず絵を描いている。だから私はまぎれもないプロである」

プロという言葉からプロ野球程度しか連想できなかった無知な僕たちは、そんな特異なことを繰り返し言う彼に「プロ」というあだ名を付けるほど珍しがった。しかしバカにしながらも頑ななポリシーを保ち続ける彼に誰もが内心一目を置いていたような気がする。

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今日の帰り道、27年の時を経て急に彼の口癖を思い出してびっくりした!

その通りだったじゃないか!!

継続し続けることを前提とし、その技術を日々磨き続けられる者がプロフェッショナル。

今思えば彼の授業が1年しかなかったことが少し残念だったが、じつは彼は授業初日で唯一無二のことを僕らに教えていて後の授業はおまけにすぎなかったのだ。

あー、なんていう先生だったっけ