営業担当者にとって、システム開発の見積もりはけっこう頭を悩ませるんじゃないでしょうか。要件や仕様書が専門的だったり不十分だったり、引き合い段階では未確定な要素が多かったりします。しかも、顧客想定から大きく外れると受注できなかったり赤字になる可能性も高く、概算とは言えいい加減な数字は出せません。
ちなみに見積り依頼があった際、プログラマーに「工数計算しといて」などと丸投げし、やっと上がってきた工数に対して鉛筆をなめて出したりしていませんでしょうか?これだと顧客が「今すぐ概算をくれ」と言っている状況では時間がかかって心象がよくありません。
そんなことをせずに、開発に直接タッチしない営業担当でも比較的精度の高い概算を算出できる方法があります。
それはデータベース(テーブル)の数だけを推測する方法です。
なぜかというと、データベース(テーブル)数というのは入出力(画面等)の数と概ね相関しており、当然工数も相関しているからです。部屋の数と出入口、窓の数、照明数などが相関しているようなものです。この際「いやいや、面倒な仕様だったら想定以上にかかるぞ」という制作現場のごもっともな意見はとりあえず無視します。
データベース数を推測するのはある程度のセンスを必要としますが、たとえばECサイトであれば最低限、商品マスタ、売上情報、顧客情報の3点が推測できます。少し複雑になると商品マスタ、在庫情報、売上情報、仕入先マスタ、リコメンド情報、ポイント情報、顧客情報など7点以上になったりしますが、切り口さえわかればエンジニアじゃなくてもそれほど難しい行為ではありません。
データベースの数が推測できたら、あとは基準となる単価を掛けるだけで概算見積りは完了です。
これだったら電話口で即答できる可能性もあります。
仮に1データベースあたりの単価を30万円とした場合、テーブルを3つ使用したシステムは概算で90万円という単純計算になります。この事前の単価設定プロセスにおいては"諸般の事情"や"比重"を加味してあげれば制作現場から怒られることも避けられます。ただし市場価格については堂々と営業・経営マターで設定すればよいのではないでしょうか。
もう少し具体的な係数を使って算出してみましょう。
①データベース数:5
②単価:30万円
③設計費係数:0.1
④間接費係数:0.2 (制作進行管理、デバッグ、現調、経費、営業管理費など)
①×②+(①×②×③)+(①×②×④)=195万円
この算出方法はデータベースを使用するシステム案件に限ったものですが、概算を即答するコツは制作者や外注に積算させなくても、単純な数を推測するだけで算出可能な根拠をあらかじめ作っておくことだと思います。
余談ですが、建築業界は概ね床面積とグレードで施工価格が決まるそうです。
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