makoto_fujimotoのblog

株式会社進角
代表 藤本信のブログです
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2010年6月13日深夜、紆余曲折を経て採取したサンプルを持って地球に帰還するというミッションをこなした小惑星探査機はやぶさ。

数々のトラブル発生は経験と技術力の低さがもたらしたもので、エンジニアリング的には賞賛すべきことではないが、そのフェールオーバー思想には特筆すべきことが多くあると思う。

好ましいエンジニアリングとは壊れた場合に修復を可能とし、最悪の障害が発生しても致命的な事態に陥らない設計だ。

僕は前から、一度宇宙に旅立ったら二度と修理することが不可能な無人探査機は全ての技術者にとって学ぶべき集大成のような存在だと思っている。

僕なりに整理すると

・起こりうる事態を可能な限り予測し仕様に織り込む
・バックアップ機能を持たせる
・プログラムやシステムの組み直しが(リモートで)できる
・自律性を持たせる
・障害が他へ波及しないようにする
・想定外のことがあることを想定する

これらは、例えば基本的に遠隔地に設置し、よほどの障害が無い限り現地に再び出向くことがないサーバやシステム運用の設計思想に不可欠なことだ。またプログラム開発においては例外ケースや障害があった場合のリカバリーを想定した設計思想だったり、理想的には"自律的"な動作をすることが望まれる。

技術者たるもの単に擬人化して感動物語に浸るのではなくエンジニアリングの集大成として宇宙開発を捉えて欲しいと思うな。

自分は上京してから知り合った友人知人はほとんど仕事関係のつながりなので、オンとオフの人間関係にあまり区別がないし、そうすることに抵抗もない。仕事が遊びにつながり、遊びが仕事につながった。

mixiを始めとするSNSも、今や嫁からは遊んでいるようにしか見られていないが、ひと昔前は何度も「同じもの、同じ機能を作れないか?」と引き合いがあり、実際いくつかのクローンを開発して、そこそこ収益につながったものだ。

職業上24時間365日メールを読める環境が必要だった事もあり、仕事用のメールアドレスとプライベートのメールアドレスも同じものを使用していた。メールシステムの管理を行い、運用ルールを決める立場にもいたので特に咎められる事も無かった。

しかし退任することが確定したからには会社のメアドをこのまま使い続けるわけにも行かないので、各所に登録しているアドレスを一時的に現在使用しているプロバイダで発行したものに切り替える作業を行っている。

これが結構面倒な作業で、しかも自分が匿名性が高くていくらでも代用可能な個人になってしまう感じがして少し寂しい気持ちになる。

早くドメイン取らなきゃなぁ

すこし上の立場になると厄介になるのが遅刻を頻繁に繰り返す部下の管理です。

何度注意しても繰り返す輩がいますね

ひどい場合には始末書を提出させ、生活面での具体的改善策を考えさせます。

改善策でよくあるのは「早く寝るように心がける」「食生活を改善する」「目覚まし時計の数を増やす」などだが、経験上は焼け石に水だ。しかしこれ以外に約束出来る対策はあまり無い。

子 供 か よ っ !  と言いたくなります。。

目覚まし時計というのは、言ってみれば自分の自律性を補助するチェック機構だが、これをいくら増やしても「自らキチンと起きて決められた時刻までに出社する」という"要求仕様"に対する"品質向上"につながらないことが多いと思う。また余計な目覚まし時計費用も発生するし、ひどい場合には上司の責任において毎朝電話で様子を確認する、などといった馬鹿げたコストが発生する場合もある。

つまりチェック機構を増やす対策によって品質を向上させるにはとても難がある。

僕が以前勤務した自動車メーカーでは全社員にこのようなスローガンが謳われていた

「品質は工程で作りこむ」

自動車は何百点もの部品で構成され、一日何千台も生産を行うにもかかわらず、基本的に大きな故障は起きず何年間も使用され、かつ人命にかかわるような商品であるが、完成後のチェックというのは"数分"しか行われない。つまり作業工程や設計思想によって品質を保つという管理手法が一般的だ。

これはメーカや建設関係者以外には意外と知られていない事実かもしれない。

そして工程での品質の"作りこみ"は専属の検査員が張り付いて全数チェックや二重チェックを行うのではなく、製造にかかわるスタッフ自らが担い、これをカイゼン活動やQCサークルによって体系的に行われている。"工程"であるから、人だけじゃなく道具や素材や環境も重要な品質向上の要素となる。

自分は遅刻の常習性を一度も指摘されたことが無いので、理由は分からないが、こんな困った奴らでもいつの間にか遅刻をしなくなる。それは性能のいい目覚まし時計を導入したおかげで無いことは確かだ。

IT業界における品質管理手法については、開発手法もかかわる人の意識においてもまだまだ確立されているとはいえない。依頼する側も依頼される側もチェック機構を増やすことが唯一の品質向上対策であるかのような"あまり正しくない"認識をしている。チェックが充実すると逆に荒っぽく作って不具合はデバッグで見つけてもらおう、という意識が生まれる可能性もある。うがった見方だけど特にWeb業界では元メーカ出身という人に出会うことが非常に少ないことも要因にあるかもしれない。

「品質は工程で作りこむ」

これはソフトウェア開発においてもとても重要な意識だと思う


応用して
「ブランドは工程で作りこむ」
「利益は工程で作りこむ」
なんていかがでしょうかね

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